2013年12月26日、安倍総理大臣は靖国神社を参拝しました。これに対して、中韓はもちろん、アメリカまでもが安倍首相を批判しました。なぜ、安倍首相は国外から強い反発が寄せられるにも関わらず、靖国神社参拝を決行したのか。そして、なぜ中国、韓国は靖国神社参拝を強く批判するのか、考察していきます。



 

1. 靖国神社を参拝する理由

 

まず初めに、なぜ安倍首相が靖国神社参拝を強行したのかについて考えてみます。「安倍首相が個人的に保守的な思想をもっているから靖国を参拝した」と考えるのが一番簡単ですが、それだけでは「総理大臣」という国家のトップが靖国を参拝するということを十分に説明できません。

 

そこで、安倍首相ら保守論客と呼ばれる人々にどのような後援者がついているのかを調べてみることにしました。まず、安倍首相が現会長を務める「神道政治連盟国会議員懇談会」という超党派の国会議員組織があります。この組織は神社本庁を母体としており、同庁の宗教的な価値観を政治に取り入れるという趣旨で結成されました。多くの自民党議員が所属しています。

 

靖国問題、皇室典範改正問題、憲法9条改正問題などでは、いずれも保守的な主張をしていることで有名です。自民党の保守的な政治思考はこの組織から生まれているか、この組織が自民党の保守思考に枠組みを与えているか、いずれにせよ現安倍政権の重要なバックのひとつであることは十分に考えられます。

 

次に、「靖国神社崇敬奉賛会」という組織があります。名前の通り、靖国神社の崇敬奉賛を目的とする団体です。靖国神社が祀っているのは、日本の軍人・軍属であるので、これを敬うということは、この団体は「右派」団体であるとみて間違いないでしょう。

 

この団体の会員数は約70,000名であり、仮に選挙で、この人数の票を得ることができれば、選挙戦を有利に進めることができます。自民党の幹部たちが靖国神社を参拝する理由は、この組織から確実に票を得るためなのかもしれません。

 

また、「日本会議国会議員懇談会」という組織も存在します。この組織はかつて、その右翼的な政策提言から、「ナショナリスト組織」だとニューヨーク・タイムズに報じられました。神道政治連盟国会議員懇談会の主張内容とは、さほど違いはないように見えます。問題なのは、自民党議員が多く所属しているこの組織が、「右翼的な」団体だと認識されいることです。

 

これは、現安倍政権が「右翼的な」政治思想をもつ政府だと解釈されてもおかしくありません。現に、中国、韓国はこれを根拠にして安倍内閣を「右翼的だ」と批判してるのかもしれません。これと合わせて、問題だと思ったことは、このような右翼団体に多くの政党幹部が今も所属しているということを、どれほどの日本国民が知っているかであるということです。このような、「デリケート」な話題はメディアにはあまり登場しませんし、認知度も低いです。このような事実こそ、日本の歴史教科書に載せるべきではないでしょうか。

 

以上のように、安倍首相の靖国神社参拝をめっぐては、国内に多数の後援組織があります。今回述べた団体以外にも、組織が存在するかもしれません。この靖国神社参拝問題から、日本政治のあり方が少しばかり見えてきますね。

 

2. 中国、韓国の靖国神社参拝に対するスタンス

 

次に、中韓がなぜ、首相の靖国神社参拝をここまで批判するのかについて考えてみます。日本が第二次世界大戦中に、中国、韓国に対して行った残虐行為は周知の事実です。この残虐行為、つまり戦争を主導したのが、現在、靖国神社に祀られている「A級戦犯」と呼ばれる人物たちです。

 

中国、韓国にとって最も憎むべき敵であり、それを神として祀っている靖国神社そのものの存在も認めたくはないと思いますが、現在の日本政府高官がこの神社を参拝したら、中国、韓国が、「自分たちが侮辱されいる」と解釈するのも当然です。

 

それでも、政党幹部たちが参拝する理由は上記に述べた通りです。このような論理は、多くの日本国民にも知れ渡っているかもしれません。

 

もうひとつ、特に中国がなぜ靖国参拝をを強く非難するのかということを示す客観的な証拠があります。それは、戦後、日本と中国が国交正常化をしたときまで遡ります。中国政府は、日本と国交を回復する際に、中国国民の反発を抑えるために「2文論」という論理で国民を納得させました。

 

2文論とは、戦中の日本を「少数の軍国主義者」と「多数の日本国民」という分け方で説明し、「自分たちが憎むべき相手は前者であり、後者は自分たちと同じ被害者である」という説明を用いて、中国国民を納得させました。つまり、中国にとっては、「2文論」の論理が通らなくなると、日本との国交正常化の大前提が崩れてしまうのです。

 

現代の日本の政治家たちが靖国を参拝してしまうと、中国国民からしたら「なぜ被害者である日本国民が、加害者である軍国主義者たちを敬っているのか」という矛盾が感じられてしまいます。これが、中国が日本政府の靖国神社参拝を強く非難する客観的な理由です。

 

史実に基づいて、日中韓の関係を紐解くのが第一ですが、日本国内、主に第一党の政治思想、神道関係の団体と政治の関係を洗っていくことが、3国間対立の構図の可視化へと繋がっていくはずです。



カテゴリー: アジア

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